私たちがなにかを表現するとき、自分では気がつかなくとも、さまざまな種類の制約を受けています。使用する材料や技術など、絵画や彫刻などの分野に固有の、物理的、表現技法上の制約、そしてさらに、ものの見かたや感じかた、考えかたのように、精神にかかわる制約。
現代の美術は、そうしたさまざまな制約から抜け出して、未知のものを見いだそうとする探究から産みだされていますが、その探究は決して終りに到達するものではありません。探究の結果は新しい制約を作りだし、その後に現れる世代は自分たちのやりかたを見いだそうとする。それにもともと、制約のもとに置かれ、制約から脱しようとし、制約を作りだすのは、人の生きることの根底にある営みなのです。美術は、それを見えるものとして示すことに価値がある。その目に見えるかたちを通して、美術は人の、そして現代の、最も重要なことがらを明らかにできるはずなのです。美術はすばらしい。
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